Radar / Multipath / Tracking / False Alarm

レーダーは、
存在しない目標まで映すことがある。

レーダーは、返ってきた反射波の時間から距離を推定します。
ところが現実には、海面で一度跳ねた反射、多重反射で余分に長くなった経路、しきい値を超えたノイズ、 そして大気ダクトのような遠距離の回り込みが混ざり、実在しない目標が画面に残ることがあります。

反射時間から距離推定 海面反射の鏡像ゴースト 多重反射による距離ずれ ノイズと追跡残り

レーダー走査

白い走査線が一周するたびに、実在反射、水面反射のゴースト、多重反射、ノイズが点として残ります。

正しいレーダー反射
ゴースト目標
ノイズ誤検出
実在する航空機
実反射 0
ゴースト 0
ノイズ 0
状態 再生中

最初はそのまま 1 周させて、水色の本物の反射の周りにオレンジのゴーストがどのくらい混ざるかを見てください。

観察: 海面反射を上げると鏡像ゴーストが増え、追跡を残りやすくすると「消えにくい目標」に見えます。多重反射を切ると、何が鏡像で何が余分な経路長かを分けて見られます。
走査角
誤検出モード 鏡像 + 多重 + ダクト
追跡残り 0.93
判定 本物が優勢

Core Idea

レーダー像は「物体そのもの」ではなく、戻ってきた経路を距離へ変換した推定結果です。

だから経路が変われば、存在しない位置に目標が現れます。レーダーの誤検出はセンサーの壊れではなく、波の伝わり方と判定アルゴリズムの副作用として理解できます。

Mechanism

どこでゴーストが生まれるのか

このページは電磁波そのものを厳密に解くモデルではありません。代わりに、送信、反射、距離推定、しきい値判定、追跡残りという流れに注目し、どの段で嘘の目標が混ざるかを見えるようにしています。

Time Of Flight

距離は往復時間から推定する

レーダーは反射波が戻るまでの時間を測り、そこから距離を計算します。つまり見えている点は「戻り時間の解釈」です。

Sea Reflection

海面で一度反射すると鏡像っぽく見える

海面が鏡のように働くと、実在目標とは別の経路を通った信号が戻り、上下が反転したような位置にゴーストが出ます。

Multipath

余分な経路長は遠い目標に見える

多重反射で少し長く回り道した信号は、より遠い距離から返ってきたように解釈されます。これが距離方向のゴーストです。

Tracking

追跡フィルタは誤検出も残してしまう

実機では一瞬の点を消すために平滑化や追跡を入れますが、そのおかげでノイズやゴーストも「それらしい目標」として残ることがあります。

Range

distance ≈ c × Δt / 2

往復時間 Δt を光速 c で距離へ変換するのがレーダーの基本です。途中で経路が変わると、距離推定もずれます。

Ghost

extra path length → farther target

余分に長い経路を通った反射波は、本来より遠くの物体から返ってきたように見えます。

Threshold

noise + threshold + persistence

しきい値を越えたノイズが、そのままではなく追跡残りと組み合わさることで、目標らしい筋に見えます。

Experiments

まず試すと違いが見えやすい操作

ゴースト目標は種類ごとに出方が違います。何を切ると何が消えるかを見ると、本物と偽物の見分け方がかなり整理されます。

1

海面反射だけ上げる

多重反射を入れたまま海面反射を強くすると、本物の反射の近くに鏡像っぽいオレンジ点が増えます。

2

多重反射だけ切る

鏡像ゴーストだけが残るので、上下反転系と距離ずれ系の違いが分かりやすくなります。

3

ノイズと追跡残りを上げる

本物に見えない単発の点が、画面上に長く残るようになります。誤報がトラック化する感覚を見られます。

4

実在目標を隠す

実目標の緑点を消すと、レーダー画面だけから本物と偽物を見分ける難しさが直感的になります。

Next Steps

次に広げるならこのページ

レーダーのゴーストは、電磁波、反射、ノイズ、信号処理が一度に現れる題材です。アンテナや通信、測位のページとつなぐと、波の見方がさらに立体的になります。