Radar / Multipath / Tracking / False Alarm
レーダーは、
存在しない目標まで映すことがある。
レーダーは、返ってきた反射波の時間から距離を推定します。
ところが現実には、海面で一度跳ねた反射、多重反射で余分に長くなった経路、しきい値を超えたノイズ、
そして大気ダクトのような遠距離の回り込みが混ざり、実在しない目標が画面に残ることがあります。
レーダー走査
白い走査線が一周するたびに、実在反射、水面反射のゴースト、多重反射、ノイズが点として残ります。
最初はそのまま 1 周させて、水色の本物の反射の周りにオレンジのゴーストがどのくらい混ざるかを見てください。
Core Idea
レーダー像は「物体そのもの」ではなく、戻ってきた経路を距離へ変換した推定結果です。
だから経路が変われば、存在しない位置に目標が現れます。レーダーの誤検出はセンサーの壊れではなく、波の伝わり方と判定アルゴリズムの副作用として理解できます。
Mechanism
どこでゴーストが生まれるのか
このページは電磁波そのものを厳密に解くモデルではありません。代わりに、送信、反射、距離推定、しきい値判定、追跡残りという流れに注目し、どの段で嘘の目標が混ざるかを見えるようにしています。
Time Of Flight
距離は往復時間から推定する
レーダーは反射波が戻るまでの時間を測り、そこから距離を計算します。つまり見えている点は「戻り時間の解釈」です。
Sea Reflection
海面で一度反射すると鏡像っぽく見える
海面が鏡のように働くと、実在目標とは別の経路を通った信号が戻り、上下が反転したような位置にゴーストが出ます。
Multipath
余分な経路長は遠い目標に見える
多重反射で少し長く回り道した信号は、より遠い距離から返ってきたように解釈されます。これが距離方向のゴーストです。
Tracking
追跡フィルタは誤検出も残してしまう
実機では一瞬の点を消すために平滑化や追跡を入れますが、そのおかげでノイズやゴーストも「それらしい目標」として残ることがあります。
Range
往復時間 Δt を光速 c で距離へ変換するのがレーダーの基本です。途中で経路が変わると、距離推定もずれます。
Ghost
余分に長い経路を通った反射波は、本来より遠くの物体から返ってきたように見えます。
Threshold
しきい値を越えたノイズが、そのままではなく追跡残りと組み合わさることで、目標らしい筋に見えます。
Experiments
まず試すと違いが見えやすい操作
ゴースト目標は種類ごとに出方が違います。何を切ると何が消えるかを見ると、本物と偽物の見分け方がかなり整理されます。
1
海面反射だけ上げる
多重反射を入れたまま海面反射を強くすると、本物の反射の近くに鏡像っぽいオレンジ点が増えます。
2
多重反射だけ切る
鏡像ゴーストだけが残るので、上下反転系と距離ずれ系の違いが分かりやすくなります。
3
ノイズと追跡残りを上げる
本物に見えない単発の点が、画面上に長く残るようになります。誤報がトラック化する感覚を見られます。
4
実在目標を隠す
実目標の緑点を消すと、レーダー画面だけから本物と偽物を見分ける難しさが直感的になります。
Next Steps
次に広げるならこのページ
レーダーのゴーストは、電磁波、反射、ノイズ、信号処理が一度に現れる題材です。アンテナや通信、測位のページとつなぐと、波の見方がさらに立体的になります。