Wireless Communication / Electromagnetic Waves / QAM / OFDM

スマホの通信は、
どう動いているのか

スマホ通信の本質は、電磁場の揺れを使って情報を運ぶことです。 携帯回線なら基地局へ、Wi-Fi ならルーターへ電波を送り、そこでインターネットへ接続されます。 その中身では、変調、QAM、5G のミリ波と MIMO、さらに OFDM のような数理が同時に動いています。

  • スマホ通信は「電波で基地局やルーターに送り、そこからインターネットへ流す」仕組みです
  • 情報は振幅・周波数・位相の変化として電波に埋め込まれます
  • 5G は帯域、空間チャネル、位相制御を一気に使って速度を押し上げています

Route

携帯回線と Wi-Fi は中継役が違う

携帯回線では基地局、Wi-Fi ではルーターが最初の受け手です。その先でどちらもインターネット側へ流れます。

Encoding

情報は電波の形の変化

0 と 1 のデータは、そのまま飛んでいるのではなく、電波の振幅・周波数・位相の変化として表現されています。

5G

速さは帯域と空間自由度で作る

5G はミリ波で周波数帯域を広げ、MIMO とビームフォーミングで空間方向まで通信資源として使っています。

Core Idea

通信 = 電磁場の揺れに情報を埋め込み、遠くで復元すること。

スマホ通信は、電波という波のパラメータを少しずつ変え、その変化を基地局やルーターで読み解く技術です。物理で見れば「場の揺れ」、数理で見れば「変調・行列・フーリエ解析」の組み合わせです。

Network Route

スマホ通信の全体像

スマホは主に携帯回線と Wi-Fi の 2 本立てで通信します。どちらも最初は電波を飛ばしますが、最初に受ける相手と、その後の流れが少し違います。

Cellular

4G / 5G は基地局へ送る

スマホは近くの基地局へ電波を送り、基地局がそれを光回線や中継網へ渡します。動画、通話、SNS も最初の一跳びはこの流れです。

Wi-Fi

家やカフェではルーターへ送る

Wi-Fi ではスマホがルーターへ接続し、そこから光回線などを通ってインターネットへ出ます。基地局の代わりにルーターが中継役です。

Mobility

移動中は基地局が自動で切り替わる

電車や徒歩で移動しても、スマホは近い基地局へ自動でつなぎ替えます。これがハンドオーバーです。

Common Core

最後はどちらもインターネットへ流れる

入口は違っても、基地局やルーターの先ではサーバーや相手端末へ届くネットワークに合流します。違うのは「最初の中継地点」です。

Common Route

スマホ → 基地局 / ルーター → インターネット → 相手

スマホ通信を一行でまとめるとこの流れです。最初の無線区間だけが電波で、その先は有線や光も混ざります。

Physics

電波 = 電磁波 = 電磁場の振動

スマホが使う電波は、光や X 線と同じ電磁波の仲間です。違うのは周波数帯だけです。

Handover

移動中でも最寄りの基地局へ切り替える

スマホは固定電話のように一本の線でつながっているわけではなく、周囲の基地局配置を見ながら通信路を選び直しています。

Electromagnetic Wave

まず電波は「波」である

通信の数式は全部ここから始まります。電波は時間とともに振動する波で、その振動の強さ・速さ・ずれ方を変えることで情報が乗ります。

Carrier

基本形は正弦波

電波は s(t) = A cos(2πft + φ) のような波として表せます。A は強さ、f は周波数、φ は位相です。

Digital

送りたいのは 0 と 1

写真、音声、文字も最後はビット列になります。そのビット列を、そのままではなく波の変化として埋め込むのが変調です。

Knobs

変えられるノブは 3 つ

振幅、周波数、位相の 3 つを動かせば、波の形に多様なパターンを作れます。通信はこの自由度を使う技術です。

Decode

受信側は逆向きに読み解く

受信側は届いた電波を基準波と比較し、A・f・φ の変化から元のデータを復元します。だからエンコードとデコードが対になっています。

Carrier Wave

s(t) = A cos(2πft + φ)

通信で使う搬送波の最小モデルです。ここにデータ m(t) を混ぜていくと変調になります。

Data

情報 = 波のパラメータ変化のパターン

ビットそのものが飛ぶのではなく、波形の違いとして空間を伝わります。

Fourier View

信号は周波数成分へ分解できる

混ざった信号でもフーリエ解析で周波数ごとに分けられるので、多数の通信が同じ空間を共有できます。

Modulation

データはどこに乗っているのか

変調とは、電波のどこかを少し変えて情報にすることです。スマホ通信では、最終的に位相と振幅を細かく使う PSK や QAM が主役になります。

AM

振幅変調

波の大きさを変える方式です。直感的ですが、ノイズで振幅が揺れると情報も崩れやすくなります。

FM

周波数変調

波の速さを変える方式です。FM ラジオのようにノイズに強く、連続的な信号にも向いています。

PSK

位相変調

波のタイミングのずれを使う方式です。BPSK では 0 と 1 を位相の反転で表し、デジタル通信の基本になります。

QAM

振幅と位相を同時に使う

QAM は I 成分と Q 成分を同時に使って、1 回のシンボルで多くのビットを送ります。スマホ通信の高速化の中心です。

BPSK

最小のデジタル変調

0 と 1 を位相 0 と π に対応させるだけなので、考え方をつかむ入口として最適です。

QAM

多値化で一気に詰め込む

I-Q 平面上に多数の点を置き、それぞれへデータを割り当てると、一つのシンボルに複数ビットを詰め込めます。

Trade-off

密に詰めるほどノイズに敏感

点を近づけると速度は上がりますが、ノイズで隣の点へ誤認しやすくなります。高速通信はこのせめぎ合いです。

AM

s(t) = (1 + m(t)) cos(2πft)

振幅を変えると、波の山と谷の大きさに情報が埋め込まれます。

BPSK

s(t) = A cos(2πft + πb), b ∈ {0, 1}

0 と 1 を位相反転で表す、最も基本的なデジタル変調です。

QAM

s(t) = I(t) cos(2πft) + Q(t) sin(2πft)

振幅と位相を同時に使うので、同じ時間でも多くのビットを送れます。

5G

5G はなぜ速いのか

通信速度を押し上げる方法は、物理的にはそんなに多くありません。広い帯域を使うか、S/N を良くするか、空間方向まで使うか。その具体化がミリ波、MIMO、ビームフォーミングです。

Capacity

シャノン容量が速度の土台

通信速度 C は帯域幅 B と S/N 比で決まります。広い帯域を確保し、ノイズに埋もれないようにすることが基本です。

Millimeter Wave

ミリ波で帯域を広げる

5G は 24GHz 級の高い周波数帯も使い、4G よりずっと広い帯域幅を取れます。これが速度向上の第一の武器です。

MIMO

空間を並列チャネルにする

複数アンテナを使って、同じ時間・同じ周波数でも別々の信号を同時に送ります。反射や回折でできた多経路を逆に利用する発想です。

Beamforming

必要な方向へエネルギーを集める

位相をそろえて特定方向へ電波を集中させると、S/N が改善し、届きにくい高周波でも効率よく通信できます。

Shannon

C = B log2(1 + S/N)

帯域を広げるか、ノイズに対する信号の強さを上げるか。高速通信の本質はこの式に凝縮されています。

MIMO

y = Hx

送信ベクトル x が空間チャネル H で混ざり、受信ベクトル y になる。MIMO はこの逆問題を解いて分離します。

Physical Lever

周波数方向 × 空間方向 × 位相制御

5G は電磁場の自由度を、周波数・空間・位相の 3 方向で同時に使っています。

OFDM

5G の土台は「フーリエ基底で並列送信する」こと

OFDM は、広い帯域を多数の細いサブキャリアへ分けて同時送信する方式です。サブキャリア同士は重なって見えても、直交しているので干渉せずに分離できます。

Parallel

多数の細い周波数で同時送信

1 本の太い通信路で全部送る代わりに、多数のサブキャリアへ分けて並列に運びます。高速化の正体はこの並列化です。

Orthogonality

重なっても直交している

周波数間隔を 1/T に設計すると、あるサブキャリアの中心では、他のサブキャリアの寄与がちょうど 0 になります。

Multipath

長いシンボルでマルチパスに強くする

細いサブキャリアほど 1 シンボルが長くなり、遅延の影響を受けにくくなります。さらに CP が反射遅延を吸収します。

FFT

実装は IFFT / FFT で一気に行う

OFDM はフーリエ基底そのものなので、送信側は IFFT、受信側は FFT で大量のサブキャリアを効率よく扱えます。

Time Cut

有限時間で切ると周波数に広がる

サブキャリアは無限長の正弦波ではなく、長さ T の窓で切られた波です。だから周波数側では sinc 形に広がります。

sinc

ゼロ点を使って干渉を消す

sinc の裾は広がりますが、サブキャリア中心では隣の sinc がゼロになるよう間隔を選ぶので、復号点では干渉しません。

Insight

OFDM = 周波数モードへの情報配置

物理っぽく言えば、電磁場を周波数モードへ分解して、それぞれのモードへデータを配置していると見なせます。

OFDM Signal

s(t) = Σ Xk ei2πfkt

各サブキャリアに QAM などで作ったデータ Xk を載せ、全部を重ねて送ります。

Orthogonality

fk = k / T, Δf = 1 / T

周波数間隔を 1/T にすると、サブキャリア同士が直交して、復号時に分離できます。

sinc Spectrum

Xk(f) = T e-iπ(f-fk)T sinc((f-fk)T)

有限時間で切った正弦波のフーリエ変換が sinc になるので、OFDM のスペクトルは隣同士が重なって見えます。

Interactive Diagram

4 つの視点でスマホ通信の中身を切り替える

携帯回線と Wi-Fi の流れ、変調、MIMO とビームフォーミング、OFDM の重なったサブキャリアを 1 枚のキャンバスで切り替えます。厳密な通信シミュレータではなく、物理と数理の役割分担をつかむための模式図です。

注意: 数式そのものを解くページではなく、「どこで電波が飛び、どこで変調され、どこで並列化されるのか」を直感でつかむための図です。

まずは回線と Wi-Fi モードで、スマホから基地局やルーターへ無線で送られ、その先でインターネットへつながる流れを見てください。

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通信の話を、別のページへつなげる

スマホ通信を理解すると、電磁波、フーリエ分解、ノイズ、シミュレーションが全部つながって見えます。ここから先は、光・数値計算・統計へ広げると自然です。