吸気
ピストンが下がるとシリンダー内の圧力が下がり、吸気バルブが開いて混合気が流れ込みます。 シリンダーを次の燃焼のために満たす工程です。
Engine Mechanics / Thermodynamics
エンジンは、空気と燃料を吸い込み、圧縮し、燃やして膨張させ、最後に排気するという 4 つの工程をくり返しながら、ピストンの上下運動をクランク軸の回転へ変えています。 1 回の燃焼だけで連続回転しているのではなく、720 度の周期を何度もつないで回り続けています。
Cycle
吸気で入れ、圧縮で整え、燃焼で押し、排気で空ける。
4 ストロークエンジンでは、クランク軸が 2 回転する間に 1 回だけ燃焼・膨張が起きます。 それでもフライホイールの慣性と複数気筒のずれによって、実機では回転がなめらかに保たれます。
Mechanism
エンジンの心臓部は、シリンダーの中で起きる気体の出入りと、 それを回転へ変える機械要素の組み合わせです。どの工程で何が開き、何が閉じるかを追うと、 ピストン運動の意味がはっきり見えてきます。
ピストンが下がるとシリンダー内の圧力が下がり、吸気バルブが開いて混合気が流れ込みます。 シリンダーを次の燃焼のために満たす工程です。
バルブを閉じたままピストンを上げると、混合気は体積を失って圧縮されます。 点火前に密度と温度を上げることで、燃焼の押す力を大きくします。
上死点付近で点火プラグが火花を飛ばし、急速に燃えた高温高圧ガスがピストンを押し下げます。 正味の仕事を取り出せる主役の工程です。
排気バルブを開き、ピストンが上がりながら燃焼後のガスを押し出します。 シリンダーを空に戻して、次の吸気へつなぎます。
1 サイクル = 4 工程 = クランク軸 720° = 2 回転
4 ストロークでは、各工程が 180° ずつを受け持ちます。 燃焼は 1 サイクル中 1 回ですが、機械系はその間ずっと回り続けます。
ピストンの往復運動 → コンロッド → クランク軸の回転
クランクとコンロッドが、直線運動と回転運動の橋渡しをしています。 シミュレーションではこの変換が最も見えやすい部分です。
Interactive
回転速度を変えながら、バルブの開閉、点火の瞬間、ピストンの上下、クランク角の進み方を見比べてください。 下の色バーは 4 工程全体の中で、今どこにいるかを示します。
まずは遅めにして、吸気と排気でどちらのバルブが開くか、燃焼でどこに火花が出るかを追ってください。
読み方: シリンダー内の色が気体の状態、左上の工程名が現在の段階、下のバーが 720° 周期の位置です。 燃焼・膨張の区間だけ、点火プラグの火花と押し下げる力が強く現れます。
Interpretation
4 ストロークは、各工程を個別に覚えるだけではつながりにくい題材です。 同じピストン運動でも、バルブの開閉と気体の状態が違うだけで役割が変わる点が核心です。
ピストンが下がるだけでは吸気にはなりません。吸気バルブが開いて初めて混合気が入り、 排気バルブが開けば同じ上昇運動が排気になります。
圧縮工程は直接仕事を生みませんが、燃焼を強くするための準備です。 点火が上死点付近で起きる理由も、最も効率よく押し下げるためです。
4 工程のうち正味の仕事を出すのは燃焼・膨張だけです。それでもエンジンが止まらず回るのは、 フライホイールや他気筒が回転をつないでいるからです。
External combustion
同じ気体を、熱い側と冷たい側へ行き来させて回す。
スターリングエンジンは、内部の気体を外へ出さず、温めると膨張し、冷やすと収縮するという 基本的な熱力学を利用する外燃機関です。燃焼を内部で起こす 4 ストロークとは、押し方の作り方が根本的に違います。
Stirling Engine
スターリングエンジンでは、空気やヘリウムなどの気体が内部に閉じ込められたまま動きます。 ディスプレーサがその気体を高温側と低温側へ運び、パワーピストンが圧力差から仕事を受け取ります。 焼いて押すのではなく、温度差で膨張・収縮させる点が核心です。
熱い側にある気体は膨張しやすく、冷たい側では収縮しやすくなります。 スターリングはこの温度差そのものを駆動源にします。
ディスプレーサは気体を押しつぶすためのピストンではなく、 熱い側と冷たい側へ「送り分ける」ための部品です。
気体が熱い側へ寄って圧力が上がると、パワーピストンが押されます。 冷えると圧力が下がり、フライホイール慣性で戻ることができます。
気体が行き来するときに熱を一時的に受け取り、戻るときに返す部品がレジェネレータです。 これがあると、内部熱のリサイクルが進み、効率が上がります。
PV = nRT
温度 T が上がれば、圧力 P または体積 V が増えます。 スターリングエンジンは、この関係を熱い側と冷たい側の移動で周期的に使います。
η = 1 - Tc / Th
理論的にはカルノー効率に近づけます。高温側 Th と低温側 Tc の差が大きいほど、 取り出せる仕事の割合は高くなります。
Interactive
温度差とレジェネレータの効きを変えながら、ディスプレーサが気体をどちらへ送るか、 パワーピストンがどのタイミングで押されるかを見比べてください。右下のフライホイールには約 90° の位相差も描いています。
ディスプレーサが気体を熱い側へ寄せ始めると、有効温度と圧力が上がり、膨張の準備が進みます。
読み方: 上の横長の室が高温側と低温側、中央の帯がレジェネレータ、灰色の部品がディスプレーサ、 右の縦シリンダーがパワーピストンです。熱い側へ気体が寄ると圧力が上がり、少し遅れて仕事ピストンが押されます。
Next steps
力学、損失、流れの見方を周辺テーマへ広げる。